歯科医院のAI電話を18医院調査してわかったこと

歯科接遇コンサルタントの久保佳世子です。
最近、歯科医院でも耳にするようになった「AI電話」。
今回、実際の歯科医院ではAI電話がどのように使われているのかを調査してわかったことをレポートします。
「受付スタッフの負担が減るのであれば、AI電話は便利なのでは?」と、思われている先生は、ぜひご覧ください。
この記事でわかること
- 歯科医院で使われているAI電話の実態(調査結果)
- 新患を逃さないための電話応対
歯科医院で使われているAI電話の実態 調査サマリー
2026年9月、AI電話サービス提供会社のホームページで導入事例として紹介されていた歯科医院18医院を対象に調査しました。
弊社スタッフと私自身が「新患」になり、実際に歯科医院へ電話をかけています。
今回の調査から、AI電話を導入するだけでは電話応対の効率化や患者満足につながるとは限らず、AIから人への引き継ぎ方とスタッフの電話応対力が重要であることがわかりましたので、理由とともにお伝えします。
- 調査対象:AI電話業者のホームページに掲載されている歯科医院(18医院)
- 調査方法:「新患」として、架電
- 調査目的:AI電話による対応の実態を知る
- 調査時期:2026年9月
※18医院のうち、6医院は、最初から人が電話応対
最長 7分26秒の理由とは
今回の調査で特に印象に残った医院があります。
この医院で電話を切るまでにかかった時間は、【7分26秒】だったからです。これはかなり長いと言えるでしょう。
新患として電話をかけると、まずAIが応対しました。
そこでAIからの質問に対して、順に答えていきます。

初診です

歯が痛いです

58歳です
ここまでは特に問題ありません。
ところが、その後、人に電話が代わると、また同じようなことを聞かれたのです。
患者側からすると、「さっきAIに伝えたのに……」となります。
AI電話を導入する目的の一つは、本来、業務の効率化ではないでしょうか。
ところが、
AIに説明する
↓
人に代わる
↓
もう一度同じことを説明する
となってしまえば、患者さんにとっては二度手間です。
その結果が、【7分26秒】。
歯が痛くて、できるだけ早く診てもらいたい患者さんにとって、7分を超える電話は苦痛ではないでしょうか。
ましてや仕事中に電話をしている方や、休憩時間を使って電話をしている方であれば、なおさらでしょう。
「もういいです」
「別の歯科医院に電話してみよう」
そう思われても不思議ではありません。
業務を効率化できたとしても、患者を逃したのであれば、それは本末転倒です。

最短 50秒からわかった事実
今回、前提として、AI電話を導入している医院を調査しました。
しかし、理由は不明ですが、最初から人が電話に出て、非常にスムーズに応対してくれた医院もありました。
このケースでは、電話を切るまでにかかった時間は、【50秒】です。
もちろん、電話応対は「短ければ短いほど良い」というものではありません。
大切なのは、「必要なことをきちんと確認しながら、患者さんに負担をかけず、スムーズに案内する」ことです。
その意味で、今回の「7分26秒」と「50秒」という差は、とても興味深い結果でした。
AIを使えば必ず効率化できるわけでは、ありません。
反対に、人が対応するから時間がかかるとも限りません。
重要なのは、「誰が電話に出るか」だけではなく、【どのような流れで患者さんを案内するか】ということなのです。

AIから約5分間、質問され続けた医院も
今回の調査でもう一つ気になったのが、AIからの質問の多さです。
中には、約5分間もAIから質問され続けた医院がありました。
調査だとわかって電話をしている私でさえ、
「長いな……」
「まだ質問が続くの?」
「もう切りたいな……」
と思いました。
これが、本当に歯が痛い患者さんだったらどうでしょう。
「とにかく今日診てもらえるか知りたい」
「この痛みを何とかしてほしい」
そんな気持ちで電話をしている患者さんにとって、次々と質問される時間は想像以上に長く感じるかもしれません。
途中で電話を切ってしまったとしても、不思議ではないです。
もちろん医院側からすれば、「必要な情報を事前に確認している」だけなのかもしれません。
しかし、医院にとって必要な質問と、患者さんが「今すぐ聞きたいこと」は必ずしも同じではありません。
電話応対では、この患者さんの心理を考えることが非常に重要です。
AIから「人」に代わった瞬間こそ重要
そして今回、私が最も気になったことがあります。
それは、【AIから人に代わったあとの電話応対】です。
AI電話を利用していた12医院のうち、私が「応対が良い」と感じたのは、わずか2医院(16.7%)でした。
AI電話がどれだけ優秀になっても、途中からスタッフが対応するのであれば、最終的には「人の電話応対力」が患者さんの印象を左右します。
たとえば、AIから人に代わった瞬間、
「はい」
「何ですか?」
という雰囲気で対応されたらどうでしょう。
それまでAIとのやり取りを何分も続けてきた患者さんは、すでに少し疲れているかもしれません。
そこで人の対応までそっけなければ、
「この歯科医院、大丈夫かな?」
という印象を持たれてしまう可能性があります。
最悪、予約に結びつかないこともあるはずです。
反対に、とても感じよく
「お待たせいたしました」
「お痛みがあるのですね」
「本日でしたら○時、または明日の○時でしたらご予約いただけます」
とスムーズに対応されたらどうでしょう。
AIから人に代わったとしても、患者さんの安心感は大きく変わります。
つまり、AI電話を導入したからといって、人の電話応対教育が不要になるわけではありません。
むしろ、AIから人に引き継がれたときに、どのような対応ができるかが、これからますます重要になるのではないでしょうか。

AI電話導入時に考えたいこと
私は、AI電話を否定しているわけではありません。
調査の結果、AI電話は「導入するか、しないか」という単純な二択ではなく、どの場面で、どのように使うかが重要なのだと感じました。
受付スタッフの業務負担を軽減するという意味でも、AIを上手に活用することは必要だと思います。
しかし【AIを導入すること】と【患者さんにとって良い電話応対になること】は、必ずしもイコールではありません。
AIを入れたことで安心してしまい、「これで電話応対の問題は解決した」となってしまうのは危険です。
現時点での私は、人による電話応対がゼロになることはないと思っています。
なぜなら、電話の向こうにいる患者さんは、全員が同じ状況ではないからです。
患者さん一人ひとりの背景や事情、気持ちをくみとりながら

それでしたら、この時間はいかがでしょうか

少しお待ちいただく可能性がありますが、本日でしたらこちらのお時間であればお越しいただけます
など、一歩踏み込んだ提案ができるのは、人だからこそできる対応の一つです。
マニュアル通りに答えるだけではなく、目の前の患者さんに合わせて考えることが、電話応対では求められます。

歯科医院のAIを電話導入 よくある質問
-
歯科医院にAI電話を導入すると受付業務は効率化できますか?
-
AI電話によって受付スタッフの負担を軽減できる可能性はあります。ただし、今回の18医院の調査では、AIから人へ引き継いだあとに同じ質問を繰り返すケースもありました。導入するだけで効率化できるとは限りません。
-
AI電話を導入すれば電話応対研修は不要になりますか?
-
不要にはならないと考えます。今回AI電話を利用していた12医院のうち、人に代わったあとの応対が良いと感じたのは2医院、16.7%でした。AIから人への引き継ぎ後の応対も、患者さんの印象を左右します。
-
歯科医院がAI電話を導入するときに重要なことは何ですか?
-
AIに何を任せ、人がどこから対応するのかを明確にすることです。また、AIが聞き取った内容をスタッフへ適切に引き継ぎ、患者さんに同じ説明を繰り返させない仕組みも重要です。
新患を逃す電話応対とは
新規の患者さんにとって、電話はその歯科医院との「最初の接点」になることがあります。
ホームページを見て、「ここに行ってみようかな」と思って電話をする。
この時点では、まだその医院の患者さんではありません。
そして電話で、「予約でいっぱいです」「今日は無理です」といった対応だけをされれば、予約のモチベーションは、がくっと下がるでしょう。
ほかを探してもおかしくありません。
医院側は断ったつもりがなくても、患者さんには「断られた」と受け取られることがあるのです。
ここで、「本日はご予約が埋まっておりますが、明日の午前でしたらいかがでしょうか」
と一歩踏み込んだ提案ができるかどうか。
この違いが、新患の来院につながるか、他院へ流れてしまうかを左右します。

私はこれまで多くの歯科医院の電話応対を見てきましたが、電話応対は単に「感じ良く話せればOK」ではありません。
もちろん、明るい声、正しい敬語、丁寧な言葉遣いは大切です。
しかし、それだけでは不十分。
新患を逃さないためには、次の力が必要です。
- 患者さんが何を求めているのかを聞き取る力
- 医院のアポイント状況を見ながら提案する力
- 痛みや不安に配慮する力
- 必要な情報を短時間で確認する力
- 保留をできるだけ短くするための知識
- どうしたら受診していただけるのかを、考える力
これらは、現時点ではAIには難しいと思います。
今後、AIが普及すればするほど、人にしかできない電話応対の価値が、よりはっきりしてくるのかもしれません。
AIを導入する前に、「今の電話応対」を見直してみませんか?
AI電話を導入する前に、ぜひ一度「今、自院ではどのような電話応対をしているのか?」を確認してみてください。
院長先生が思っている電話応対と、実際にスタッフが行っている電話応対は、意外と違っていることがあります。
「予約でいっぱいです」と簡単に断っていないでしょうか。
患者さんを長時間保留にしていないでしょうか。
業務の効率化も大切ですが、自院の電話一本で、新患を逃していないか?を、見極めていく視点が、非常に重要です。
そこで、2026年10月22日(木)に開催するオンラインセミナーはいかがでしょうか。
「新患を逃さない電話応対」を実践的にお伝えします
今回のセミナーでは、単なる電話マナーだけをお伝えするものではありません。
実際の歯科医院で起こっている電話応対の事例をもとに、現場ですぐに使える内容を実践的にお伝えします。
「新患を逃さないためには、どう応対すればいいのか」
「予約がいっぱいのとき、どのように提案すればいいのか」
「保留時間を減らすために、何を知っておく必要があるのか」
「ドタキャン・無断キャンセルを減らすために、電話で何を伝えるのか」
などが、具体的にわかります。
AI電話が普及する今だからこそ、人にしかできない電話応対を、一度見直してみませんか?
院長先生が、「うちの電話応対、本当に大丈夫かな?」と感じていらっしゃいましたら、ぜひスタッフの皆様とご参加ください。
電話一本が、新患との最初のご縁になります。
その一本を取りこぼさない電話応対に変えていきましょう。
2026年10月22日(木)オンラインで開催
新患を逃さない!基礎から学ぶ電話応対セミナーの詳細・お申し込みはこちらです。
https://essence-4c.com/open/denwa-online-2026/

投稿者プロフィール

- 2009年の事業開始以来、終始一貫、歯科専門のスタッフ教育に携わる。詳しいプロフィールはこちらから
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