【歯科受付スタッフ向け】歯科で患者さんをお待たせしてもクレームになりにくい伝え方とは

こんにちは。久保佳世子です。

歯科医院で、患者さんが苦にならない待ち時間は、どのくらいだと思われますか?

人にもよりますが、一般的には、診療まで待たされても苦にならないのは10分以内と言われています。

なぜなら、10分は患者さんの経験上、想定の範囲内だからです。

では、10分以上お待たせする場合はどうでしょう。

患者さんは、だんだんイライラしてきますし、その様子を見ている受付スタッフも内心ヒヤヒヤするのではないでしょうか。

そのような状態は、お互いにとって良くありませんよね。クレームにもつながりかねませんし、ひいては治療の中断にまで発展してしまう恐れもあります。

そこで今回は、患者さんをお待たせしてもクレームになりにくい伝え方を、取り上げてみたいと思います。

予約があるにもかかわらず、患者さんを10分以上お待たせしてしまいそうな場合

本来は、時間どおりにご案内できるのが望ましいとはいえ、お待たせしてしまうこともあるでしょう。

そんなときの伝え方のポイントは2点あります。

  1. 依頼形で伝える
  2. 催促される前に伝える

参考例を紹介します。

「○○さん、時間どおりにきてくださったのに申し訳ございません。治療開始が10分ほど遅れますが、よろしいでしょうか」

決して「お待ちください」と言ってはいけません。

「よろしいでしょうか」や「お待ちいただくことは可能でしょうか」など、依頼形でお伺いをたてます。

もし、患者さんから「待てない」と言われた場合は、さらにこうお尋ねしましょう。

「恐れ入りますが、こちらを何時に出られると、次のご予定に差し支えないでしょうか」

そして、患者さんが医院を出ないといけない時間を、担当するドクターや、歯科衛生士に伝えて指示をもらいましょう。

たとえば「12時半には、お帰りになれるよう、中のスタッフには伝えておりますので、あと5分ほどお待ちいただけますか」

と患者さんにお伝えします。

そして、待ち時間については、催促される前にお伝えすることが重要です。

患者さんは言葉にせずとも「まだかな…」と思いながら待っています。

本当は「あとどのくらいですか?」と聞きたいけど聞けない、という方も。

そんなとき、まるで患者さんの心を読んだかのような声がけがあると、患者さんも安心するはずです。

放置していませんよ、ちゃんとわかっていますよ、というのを態度で示しましょう。

また、待ち時間が発生したときの、受付スタッフが果たす役割は非常に大きいです。

受付スタッフの言い方ひとつで、患者さんからの歯科医院全体に対する印象が変わります。

帰り際には次のようにお伝えしましょう。

「予約時間どおりにご来院くださったのに、お待たせして申し訳ございませんでした」

この一言があるのとないのとでは、患者さんの気持ちも大きく変わってきます。

「待たせて当たり前」のような態度でなかったとしても、ひとことがなければ患者さんはムっとするでしょう。

先回りして、患者さんの気持ちに寄り添う言葉がけができるのは、受付スタッフだからこそ。

歯科医院を代表してお声がけするくらいの気持ちでのぞんでいただきたいと思います。

電話応対で待ち時間を聞かれた場合

以前、電話応対研修のロールプレイングをしたときのこと。

「予約の患者さんの間に入れますので」

これは、お電話で患者さんからその日の待ち時間を聞かれた場合の受け答えでした。

ですが、質問の答えになっていませんよね。

患者さんは「待ち時間」を聞いているのですから。

かといって「わかりません」と答えれば、患者さんを不愉快にさせることは間違いないでしょう。

はっきりと待ち時間を伝えられないスタッフの心理としては、次のようなことが考えられます。

「30分と伝えたのに、それ以上待たせることになっては、あとからクレームになってしまう(だからハッキリ言えない)」

責任を負いたくないという気持ちも、見え隠れしていますね。

逆に、1時間と言っておきながら、キャンセルがあり、すぐに導入できることもあります。

ですから、待ち時間の案内が不親切になるのでしょう。

では、このような言い方はいかがでしょうか。

「本日ですと25分から、45分ほどお待ちいただきますが、いかがでしょうか」

お待たせ時間に、幅をもたせて伝えます。

患者さんの立場としては、待ち時間の目安を知りたい訳ですから、幅があることは問題ありません。

ここで一点、注意事項があります。

仮に、伝えた時間より大幅に、早く導入する場合は受付から事前に説明することが大切です。

お待たせする時間が短くなっても、言葉足らずが、クレームを引き起こす原因になることがあるからです。

面倒がらずに、手間を惜しまず、診察室へ導入する前に伝えましょう。

患者さんにとっては、早くなってうれしいことでも「受付では30分以上待つと言われたのに…」と、小さな不満を抱え、診療室側でこぼされることもあるからです。

事前に言えば説明。事後に言えば言い訳。

同じことを伝えるにしても、タイミングによって、事態が変わることを覚えておきたいですね。

そして、受付スタッフは、導入が早くなった理由を次のように伝えましょう。

「前の患者さんの治療が、予定より早く終わったので、あと〇分ほどでご案内ができそうです」

間違っても「ドタキャンが出たので…」などとは、言わないほうが良いでしょう。

患者さんに、いらぬ不信感を与えてしまいかねませんね。

いかがでしたでしょうか。

患者さんをお待たせしても、クレームになりにくい伝え方は、いかに患者さんの立場にたてるか?で、変わってきます。

自分が待たされたらどう思うか、どう伝えられたら気分が悪くないか、ひごろから考えてみるのも、トレーニングのひとつです。

受付スタッフの言葉がけが優れていれば、まるで営業マンのような働きができるようになります。

自分の努力ひとつで、歯科医院の評判が左右されるとしたら、当然ですが評判が良くなるほうに変化してほしいですよね。

ご参考になれば幸いです。

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